かなり誤解されていることが多いと思われるフォーマットについて。
フォーマットすればデータが完全に消えてしまうというのは間違いです。
データを消去するためにフォーマットするというのは、もっと間違いです。

これは、クイックフォーマットに限らず、通常のフォーマットでも同じです。
フォーマット専用ツールであるフォーマッタを使っても同じです。
結果的に、やっていることは同じだからです。

ただし、フォーマットするというのは新たにファイルシステムを適用することを意味するので、
ファイルに関する情報が一部上書きされます。
つまり、一部データが失われます
フォーマットした後、完全に元の状態に戻すことはできません

しかし、その他のデータには変更が加えられていません。
フォーマット直後であれば、復元可能な領域のほうが圧倒的大部分を占めているのです。

「フォーマット」=「データ消去」だった時代

たしかに、かつては「フォーマット」=「データ消去」みたいなことがありました。
それは、フロッピーディスクにおいてです。

フロッピーディスクで一般的に行われていたフォーマットは、物理フォーマットです。
フォーマットは、生の磁気フィルムにデータ保存場所としての意味を持たせるための作業でした
その際に磁気フィルムを物理レベルで書き直すので、今までのデータが消去されてしまいます。
このため、フォーマットする前に、ユーザーにデータ消去の確認が求められていました。

そこから「フォーマット」=「データ消去」という認識が生まれ、
データを消去する目的でフォーマットすることも一般的になりました。
このことが、誤解を生む原因になってしまったんじゃないかと思います。

「フォーマット」が物理フォーマットを指すのであれば、「フォーマット」=「データ消去」になります。
でも、現在言われているフォーマットというのは、ほぼすべて論理フォーマットなんです。

フォーマットの目的

Windowsが行うフォーマットは、論理フォーマットです。
クイックフォーマットとか通常フォーマットとか、そういう話ではありません。
それらひっくるめて、全部論理フォーマットです。
前述のフロッピーディスクでの通常フォーマットも、物理フォーマットの後に論理フォーマットを行っています。

Windowsがフォーマットを行うのは、データを消去するためではありません
ファイルシステムを適用し、Windowsからファイル操作できるようにすることが目的です。
そのために必要な作業が、論理フォーマット。

だから、データを消去するために全領域を上書きするような、余計な動作をする必然性はなく、
フォーマットに必要なデータを上書きするだけです。

通常フォーマットに時間がかかる理由

クイックフォーマットではない通常のフォーマットには、かなりの時間がかかります。
このため、通常フォーマットすればデータが完全に消去されていると思われがちです。

でも実は、そのほとんどが、不良セクタを確認するために全領域の読み取りチェックを行っている時間であり、
何か別のデータで大々的に上書きしているわけではありません。※参考: Microsoftサポート

クイックフォーマットと通常フォーマットの違いは、セクタエラーチェックの有無にあります。
フォーマットの時点で不良セクタが見つかれば、以後不良セクタを含むクラスタは使われなくなります。
フォーマット時に指定したファイルシステムによって、そのように扱われるのです。
このことで、後に続く作業、たとえばWindowsのインストール等がスムーズに行えるようになります。

フォーマットによって上書きされるデータ

フォーマットは、ハードディスク等の記憶装置に必要なデータを書き込むことによって行われます。
つまり、上書きされるデータがあります。
フォーマットによってデータが完全に消去されるわけではありませんが、
かといって、データがまったく消去されないわけではありません

以下、上書きされるデータです。

  • PBR
  • ファイルシステムのインデックス

復旧を考える場合には、特にインデックスの上書きが致命的になります。

論理フォーマットは、ファイルシステムを初期化する作業なので、
ファイルが何もない状態のインデックスを作成、上書きします。
インデックスが壊れてしまっても、ファイルのデータが上書きされていなければ、
各種ファイル復元ソフトを利用してファイルを復元できるんですが、
ファイルシステムによっては、インデックスにファイルのデータ自体が含まれているため、
ファイル単位でも復元が不可能になります。

また、パーティションの復旧についてはより深刻で、
フォーマットした後、フォーマット前の状態に戻すことはできません
フォーマットによって、パーティションを復元するために必要な情報がすべて上書きされてしまうからです。
そもそも、それらを新たに書き直す作業がフォーマットですから、
復旧が目的であればフォーマットは厳禁です。

フォーマット後の復旧可能性

逆に、上記以外の上書きされていないデータについては復元できます。
インデックスは、ファイルが存在しない最小限の状態で上書きされているだけです。
記憶装置内の圧倒的大部分は上書きされていません。
このため、多くのファイルは復元可能です。

インデックスを復旧することはできませんが、
ファイナルデータのようにファイルシステムのルールを無視してファイルの痕跡をたどることができれば、
記憶装置内に残されているデータからファイルを復元することができます。

ごみ箱から削除したファイルを復元することに比べれば、
上書きされている部分があるため、すべて復元可能なわけではなく、困難な作業になりますが、
復元が不可能なわけではありません。
むしろ、かなりのファイルは復元できることを認識しておくべきだと思います。

ただし、フォーマットによって、
ファイルシステムに関わる重要な部分をリセットしたうえで上書きしているため、
完全に元の状態に戻すことはできません。
つまり、ファイルという局所的な復元はできるかもしれませんが、
パーティション全体の復元はどうやってもできません。

以上まとめると、

  • ファイルの復元可能性はあり
  • パーティションの復元は不可能

ということです。

データを消去するには

これまでに書いてきたとおり、フォーマットはデータを消去するためのものではありません。
データを消去することが目的であれば、
フォーマットではなく、データを消去するためのツールを使うべきです。

「Darik's Boot and Nuke」の使い方

こうしたソフトは記憶装置の全域にわたってデータを上書きするので、ファイルの復元すらできなくなります。
もちろん、復元できないというだけで、モノとして使えなくなるわけではありません。

データを見えなくするだけであればフォーマットでもいいんですが、
完全に消去するためには、少なくともデータを上書きする必要があります。