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データ復旧業者の料金にはっきりとした相場がないのは、
提供するサービスが異なるからです。
業者によって違いがあるのはもちろん、お客さんによっても作業内容が異なります。
つまり、同じ商品を同じ価格で提供できる業種ではないのです。
まず、データ復旧業者によって、できることに違いがあります。
A社で復旧できないことが、B社だと復旧できるということが多い業界です。
良くも悪くも、データ復旧業者はブラックボックスだからです。
また、お客さんの依頼内容や、ハードディスク等の記憶装置の状態もさまざまです。
極端な話、毎回違う作業を行う必要があります。
データ復旧業者にとっては、データの復旧というサービスが商品なので、
お客さんの数だけ商品が異なり、料金も異なることになります。
従って、データ復旧料金には決まった相場がないのです。
でも、お客さんが知りたいのは料金です。
そこで、業界1位のデジタルデータリカバリーさんをお伺いして、
見学するついでにいろいろと聞いてきました。
先方には嫌がられる料金のことも。
本当のことを言うと、依頼を受けての取材記事なのですが、
こちらからもデジタルデータリカバリーを訪問しようと思っていたのは事実なので。
というわけで、当ページはデジタルデータリカバリーの見学と、
その後の質疑応答をふまえた内容となっています。
データ復旧業者の商品は同一ではない
データ復旧業者の商品であるサービスは、
- データ復旧業者の能力
- 記憶装置の状態
- お客さんの依頼内容
によって変わるので、
サービスの対価としての料金を一律に決めることができない実態があります。
また、データの復旧というサービスの特徴として、
ハードディスク等の記憶装置にトラブルが発生してはじめてお世話になるので、
お客さんと日常的に接点がある業種ではありません。
データ復旧料金も、明示していないことが多いです。
このため、お客さんからすると、
高額な料金を請求されるのではないかと心配になるのが普通の感覚だと思います。
定額料金でデータ復旧サービスを行うとどうなるか
一方で、定額でデータの復旧を行う会社もあります。
それは、定額料金にするメリットがあるからです。
具体的には、
- 数をこなせる
- 設備投資が小規模で済む
- マニュアル化できる
点が挙げられます。
定額料金は、作業内容が同じであることを意味します。
もちろん、多少の違いはあるにせよ、
数倍の工数のかかる作業を同じ料金で実施することはありません。
あくまでも商売なので。
定額料金でデータの復旧を行うというのは、
損傷度合いの異なる記憶装置に対して、通り一遍の作業しか行わないことになります。
つまり、ある一定以上の障害は、データの復旧ができないとして返却されます。
そうするしかないのです。
決められた作業で対応できるもののみ受注するスタンスです。
定額料金も高額だとお客さんがメリットを感じないので、手頃な価格設定であることが多いです。
料金の対価であるデータ復旧サービスも相応なので、
高度な作業は行いませんし、その環境もないと考えたほうがいいです。
その分、定額料金を売りにして受注件数を増やします。
私も修理業界に身を置いていたのでわかりますが、
本来、現場には臨機応変な対応力が求められます。
お客さんの数だけ、状況が異なるからです。
緊急度や重要度が高い場合は、定額のデータ復旧サービスは避けたほうがいいのではないかと思います。
逆に、何よりも料金を優先するのであれば、選択肢としてはアリだと思います。
データの復旧にかかるコストの内訳
データ復旧料金は、一般的な感覚からは高いと感じられると思います。
でも、必ず高額になるわけではありません。
どんなケースでも高額なデータ復旧料金を請求していれば、ぼったくりと言われても仕方がありません。
でも実際には、データ復旧料金に幅があるというのが、真の姿だと思います。
軽度の障害であれば、最低料金に近い金額で復旧できます。
一方、重度の障害だと、必然的に料金は高額になります。
料金が高額になる理由は、
- 技術力を要する
- 手間がかかる
- 資材が必要になる
いずれも、軽度の障害に比べ、重度の障害は数倍のコストがかかることがあります。
つまり、料金に幅があるというのは、とりうる選択肢が多いことの裏返しなのです。
データ復旧業者に依頼される記憶装置は、物理障害が発生しているものが多いですが、
物理障害と一口に言っても千差万別です。
1度のヘッド交換でデータを読み出せる場合もあれば、
ヘッドの交換 → データの読み出し → ヘッドの交換 → データの読み出し
と、1台のハードディスクに対して、何度も繰り返し部品交換が必要な場合もあります。
たとえば、デジタルデータリカバリーでは、
プラッタにスクラッチ傷のあるハードディスクのデータ復旧にも取り組んでいます。
このように、プラッタに物理的な問題があるハードディスクでは、
ヘッドでデータを読み取る過程で、ヘッド自体もダメージを受けます。
交換部品は、一度交換すればそれでいいというものではないのです。
物理的にデータを読み出せなければ、どうしようもありません。
奥のモニターで、緑色に表示されているハードディスクはデータの読み出しに成功していますが、
赤く表示されているものはデータを読めていません。
一度の修復作業ではデータの読み出しが不完全な場合、再び物理障害への対応を行います。
ハードディスクのデータが読めるようになるまで、これらの作業を繰り返すことになります。
交換部品のストックも常備しておかなければなりません。
すべてのメーカー、型番を網羅するだけでなく、
同じ型番でもリビジョンの異なるものは、個別に取り揃える必要があります。
結果、ストックされているハードディスクは膨大な数になります。
デジタルデータリカバリーでは、7000台以上のハードディスクを在庫として持っています。
ハードディスクを収集するための専任者もいるそうです。
これらをピンポイントで消費していくのが、重度の物理障害です。
しかも、読み出したデータはそのまま使えるわけではありません。
異常のあるハードディスクでは、データが完全な状態で保存されていることはほとんどないので、
取り出したデータを意味のあるデータに修正する作業が必要です。
当然、重度の障害のほうが、論理的に正しいデータに修正する難易度も上がります。
従って、障害の程度によって、データ復旧料金は大きく異なるのです。
作業量も資材も何倍も必要になることがあるので、料金も何倍も変わってくるというわけです。
そして、料金の見積もりは、実際にハードディスクを診断するまでわかりません。
これは他の修理業と同じで、
どこが壊れて何に問題があるのかを特定しない限り、何をすべきかが決まらない、
つまり商品であるサービスが決まらないので、料金も決まらないからです。
デジタルデータリカバリーでは、データ復旧の初期診断は無料で行っているので、
まずはデータ復旧の可能性と、料金の見積もりを出してもらったほうがいいのではないかと思います。
結局、そうするしかないので。
ただし、無料とはいっても送料は自己負担です。
デジタルデータリカバリーまで記憶装置を持ち込めば無料。
ただし、内蔵ハードディスクの分解が必要な作業は有償になります。
その際は、事前に連絡が行きますけどね。
逆に言えば、初期診断ではハードディスクに直接手を加えるようなことはせず、
簡単な動作確認しかしないことになります。
具体的には、ハードディスクの電源を入れ、各部位の挙動を確認し、
データの読み出しが可能かどうかを判断します。
デジタルデータリカバリーでは、初期診断とデータ復旧作業でやることをはっきりと分けているそうです。
正直、こういうサイトを運営していると、いろんな方面から「うちを紹介してくれ」という依頼が来るのですが、
個人的には、自分が使いたいと思う商品やサービスしか紹介しない主義でやっています。
デジタルデータリカバリーについては、先方からこの話がある前から知人やユーザーに紹介していました。
私は家電量販店に属していて、データ復旧業者ではなかったので、
対応できないハードディスクの物理障害については、他の業者を紹介することくらいしかできなかったのです。
今回デジタルデータリカバリーを取材させていただいたのも、ご縁だと思っています。
私が紹介するまでもなく、デジタルデータリカバリーは、
様々な企業や大学、その他団体のデータ復旧に携わっています。
これらは、その一例です。
最後に、取材先のご紹介。