BIOSが起動しない状態とは、
パソコンの電源は入るものの、BIOSが正常に立ち上がらないため、
結果としてパソコンの動作そのものが止まってしまう状態のことです。
パソコン本体や内蔵ハードディスク等、各種部位の電源が入らないため、パソコンが起動できない状態とは異なります。

というわけで、以下の条件を満たします

  • 電源ランプが点灯し、電源、CPU等の冷却ファンは回転する
  • ハードディスクのアクセスランプが最初点灯するも、数秒後には完全に消灯
  • 画面は真っ暗で何も表示されず、ビープ音も鳴らない

BIOSが起動しない限り、ディスプレイには何の信号も送られないため、画面は真っ暗のままのはずです。
もちろん、BIOSのビープ音すら鳴りません。
ビープ音が鳴っているのであれば、それはBIOSが鳴らしているのであり、
DRAMやビデオカード等に異常があることを、画面に表示できない代わりに音で示しているのです。

逆に、上記内容が完全に当てはまる場合は、BIOSが起動できていない可能性が高いです。
なんていうか、電源ボタンだけ反応するんですよね。
押せば電源入るし、長押しすれば電源切れる。
でもそれ以外は何もできない。

BIOSすら起動しないと、マザーボードそのものの故障を疑ったりして、
一見、手の打ちようがないように思ってしまいがちですが、
実は、ちょっと確認しておいたほうがいい点があります。

BIOSが起動できなくなる原因

BIOSとは、「Basic Input Output System」の略で、
文字通り、基礎的な入出力を担っているプログラムのことです。

特に、パソコンの場合はマザーボードのBIOSが起動できないと、
その後にハードディスクを読みに行く等の動作が一切できないため、そこで動作停止してしまいます。
BIOSは、パソコンのシステムにおける土台みたいなものですから、
BIOSが起動できないというのは、そのパソコンが動作できないに等しいです。
少なくとも、ソフトウェア的には。

BIOSが起動するとき、まずCMOSに保存されている情報を読み込み、
その設定に従ってパソコンを起動させようとします。
ところが、場合によってはCMOSの情報を正常に読み取れなくなってしまうことがあり、
そうするとBIOSも起動できなくなるのです。

その、CMOSの情報を正常に読み取れなくなってしまう原因の最たるものが、
CMOSバックアップ用ボタン電池の劣化
です。
つまり、BIOSが起動できない場合に、原因として最も疑われる箇所は、
CMOSバックアップ用のボタン電池
なのです。

電池の電圧降下は、一気にゼロになるわけではありません。
たとえば、CR2032は定格3Vですが、2~3Vをふらふらしながら、徐々に起電力が低下していきます。
電池としては、まだ起電力がある状態かもしれないですが、
CMOSをバックアップするために必要な起電力が確保できなくなったとき、
BIOSが起動できないといった症状となって現れてくる
というわけです。

CMOSバックアップ用ボタン電池の寿命は、一概には言えませんが、
経験上、パソコン購入から5年を過ぎると、あやしくなってくるみたいです。
逆に言えば、ちょっと古めのパソコンで、BIOSが起動できなくなった場合、
とりあえず、CMOSバックアップ用ボタン電池を交換してみたほうがいいです。

特に、BIOSが起動したり起動しなかったりするような症状の場合、
かなり高い確率で、CMOSバックアップ用ボタン電池の劣化が原因のはず
です。

BIOSに警告表示が出る場合との違い

CMOSバックアップ用電池の起電力がなくなり、それがマザーボードに検出されると、
電源投入時にBIOSが警告画面を表示してくる場合があります。

警告の内容は、「System battery voltage is low.」とか、「CMOS Battery Low」とか。
表示内容はBIOSによって異なります。
つまり、「電池切れでCMOSの情報を保持できないよ」というわけ。

従って、起動時に時刻の再設定を求められます。
時刻を設定しても設定しなくても、進めればとりあえずは起動します。
ただし、毎回起動するたびBIOSに時刻の再設定を求められるわけですが。
設定した時刻も、毎回消えます。

何が言いたいかというと、この場合BIOSは起動しているのです。
原因としては、同じCMOSバックアップ用電池の起電力低下なわけですが、
警告表示が出る場合は、逆にBIOSは動いているので、その後の動作につなげることができます

CMOSの情報が信用できないとBIOSが見切ってくれればいいんですが、
マザーボードの設計が悪いのか、読みに行ったまま固まる状況を目にします。
当ページは、そういうBIOSによる電池切れ表示が出ない場合について書いたものです。

CMOSバックアップ用ボタン電池の交換

前述のとおり、CMOSバックアップ用としては機能しなくなったとしても、
ボタン電池の起電力が完全にゼロになっているわけではないため、
実作業の際には、新品と旧品がごっちゃにならないよう、特に注意してください
テスターで測っても、判別できない場合があります

CR2032

CMOSバックアップ用のボタン電池は、
デスクトップパソコンなら、普通にそこらで手に入るCR2032が使われていることが多いです。
詳しくは、パソコンのマザーボードを見れば、すぐにわかります。
マザーボードに電池ホルダが取り付けられていて、そこにボタン電池がはめ込まれているはずですから。

あとは、普通に電池を交換するだけです。
先の細いマイナスドライバーがあれば、簡単だと思います。

ノートパソコンの場合はちょっと厄介で、電池を汎用品と交換することが困難です。
というのも、スペース上の制約があるため電池ホルダがなく、
電池の電極に直接端子がはんだ付けされていることが多いからです。
交換するにしても、電池ユニットとして交換する必要があったりします
ものによっては、修理扱いになるかもしれません。

BIOSすら起動しないと、手も足も出ないような感じさえ受けますが、
ボタン電池の交換だけで正常起動することが意外に多いです。
数百円の電池代でパソコンが正常起動するようになるなら、やってみる価値はあるでしょう。

メモリを疑う

以上、CMOS用電池について書いてきましたが、これ以外の原因でBIOSが起動しなくなることもあります。
頻度として高いのは、メモリの接触不良です。
こちらの場合は、ハードディスクのアクセスランプも無反応だったりします。

メモリの端子は非常に密集しているうえ、露出していることも多く、
また構造上、メモリスロットはCPUの近くに位置するため、CPUファンの風によってホコリを集めやすいです。
従って、メモリ端子に付着した汚れが原因でBIOSが起動しなくなることがあります

この場合、メモリモジュールを一旦取り外し、
メモリスロット、及びメモリモジュールをエアダスター等を使って清掃
します。
メモリ端子の変色が目立つ場合は、何度か抜き挿ししてみます。
ファミコンのカセットみたいなもんです。※ファミコン世代です。
端子の状態がひどい場合は、綿棒とアルコールを使って拭いてみたり、
さらにはサンドペーパーで軽く研磨することもありますが、そのへんは自己責任で。
清掃後取り付けると、復旧する場合があります。

個人的に、メモリの不具合の診断は苦手です。
症状がバラバラだからです。
しかも、「たまーにおかしくなる」とか言われると、「memtest86+」を走らせ続けて様子を見てみるしかありません。

ただ、BIOSが起動しない症状に関しては、メモリに限って言えばほとんどが接触不良です。
うんともすんとも言わず、自分の手に負えないと思ってメーカー送りにしたパソコンが、
メモリの清掃だけで帰ってきたという恥ずかしい経験が何度もあります(学習しろ)

メモリの不具合はフリーズという結果で現れることが多いんですが、
そのフリーズのタイミングで、BIOSの起動もできずに固まるのは致命的な不具合なので、
特定のメモリアドレスだけおかしいというようなメモリモジュールの不具合ではなく、
端子の接触不良とか、もっと基本的な問題である可能性が高いわけです。

メモリの不具合が前述のCMOS用電池と違うのは、見当がつきにくいこと。
再現性が低いのです。
CMOS用電池の場合は、年数や型式である程度見当がつきます。
電池切れでBIOSが起動しなくなるパソコンは、再び電池切れすれば、またBIOSが起動しなくなります。
でも、メモリの場合はそうじゃない。

判定が難しいのは確かですが、ノートパソコンではCMOS用電池の交換が困難ですから、
メモリ端子の清掃ぐらいはやっておいたほうがいいんじゃないかと思います。
ただし、ノートパソコンのメモリを扱う際は、事前に必ずバッテリーを取り外すように。
くれぐれもご注意ください。