PLCという選択肢

無線LANが届かないなら

無線LANは、離れた部屋との通信が苦手です。
特に、5GHz帯では、隣接した部屋までしか使い物になりません
無線LANは、遮へい物の影響を強く受けます。
周波数高いから

もし据え置きで使ってるのなら、有線接続も選択肢に含めるべきです。
とはいえ、LANケーブルを引き回すのは面倒ですし、工事が必要な場合もあります。
そこで、PLCは有力な選択肢になってきます。

PLC

これは、当方で使用しているPLCアダプタ、BL-PA510です。
コンセントからLANケーブルを引き出せるとイメージすると、わかりやすいと思います。

PLCとは何か

PLCは「Power Line Communication」の略で、日本語で電力線通信です。
電力線、つまり宅内に張り巡らされている交流100V用の配線を、そのまま通信用として使うものです。
LANケーブルの代わりに、コンセント用の配線を使うのです。
基本的に、同じ分電盤から出ているコンセントであれば、使用可能です。

難しそうに聞こえるかもしれませんが、設定も何もなく、つなぐだけですぐ使えます。
設定が必要になるのは、追加でPLCアダプタを増設したときぐらいです。

一般には、無線よりも有線のほうが高速に通信できます。
S/N比が高いからです。
有線LANで接続できるなら、LANケーブルを引き回してでも有線接続すべきです。
速度、安定性共に高く、良好な通信品質を確保できます。
ケーブルは邪魔ですけど。

でも、実際にはLANケーブルの宅内配線が行き届いてる環境なんてのは滅多にありません。
だから、何が何でも無線LANで接続しようとします。
で、場合によっては無線LANの限界を超えて接続しようとして、
電波が届かないとか、不安定で切れるとか、そういう状況が発生します。

有線LANの配線はなくても、コンセントがない部屋は滅多にないはずです。
コンセントをLANケーブル差し込み口のように使うことができれば、離れた部屋でも有線接続が可能であり、
それを実現するのがPLCです。

PLCの問題点

PLCにも問題があります。
PLC最大の問題点は、通信に用いるケーブルが、通信用として作られたものではないことです。

有線接続は一般にS/N比が高いから高速だと書きましたが、PLCは例外です。
もともとが通信線ではなく、ノイズの影響を受けやすいからです。
コンセントに接続されている、他の電気製品の影響を常に受けます
このため、安定した通信品質を保つためには、
ノイズフィルタを用いたり、多少の工夫が必要な場合があります。
ノイズフィルタについては、後述します。

PLCの通信速度

そこで、実際にPLCと無線LANの通信速度を比較してみることにしました。
測定方法等、詳細は下記ページにまとめるとして、ここでは結果から書いていきます。

PLCと無線LANの通信速度比較

通信速度[Mbps]
PLC(別ブレーカー) 40
PLC(隣接) 54
IEEE 802.11g 22
IEEE 802.11g/n 64
IEEE 802.11a 23
IEEE 802.11a/n 75

PLCの通信速度は、「IEEE 802.11a/g」以上、「IEEE 802.11a/g/n」以下でした。
ただし、無線LANは通信状態が良好な条件で比較しています。

PLCは、通信状態が良好な無線LANと同等の速度が出ると言っていいと思います。
当初の予想よりは、高速だと感じました。
でも、「IEEE 802.11a/g/n」等、多重化した無線LANにはかないません。
「IEEE 802.11ac」であれば、言うまでもありません。

PLCの利点は、離れた部屋でもそれなりの通信品質を確保できることです。
私がPLCを導入したのも、無線LANでは接続が不安定だったからです。
2つ以上離れた部屋と通信する場合、
無線LANでは速度が半分以下になったり、接続が切れたりする
ことがあります。
離れた部屋でも、通信状態が良好な無線LANと同等の速度が出るとすれば、
PLCを利用する価値は十分にあると思います。

PLCのメリット・デメリット

まずデメリットとしては、PLCはLANケーブルの代わりでしかないので、コストパフォーマンスは悪いです。
無線LANルーターのように、ルーターとしての機能はありません。

TP-Link PLCアダプター TL-PA4010 KIT

PLCアダプタも、以前はセットで1万円以上するのが普通でしたが、
価格も手頃になってきており、TL-PA4010とか5千円ほどで買えたりはしますが。※2017年11月時点。

無線LANで良好な通信環境を構築できるのであれば、
無線LANのほうが高速なので、無理してPLCを使う必要はありません
ただ、PLCは無線LANと違って障害物とか関係なく通信できるので、
離れた部屋と通信する場合は、PLCがベストな選択肢になる可能性が高いです。
無線LANの電波が届かなくても、
同じ分電盤から出ているコンセントであれば、PLCで通信できる可能性があるのです。

また、PLCを経由した先から、さらに無線LANで通信することもできます。
違う階はPLC、同じフロアは無線LANのようなつなぎ方が可能です。
実際、そうやって最適なネットワーク機器を使い分けるのがベストだと思います。

ノイズフィルタの意味

ここからは、実際にPLCを使うにあたっての注意点。
PLCは電力線に高周波の信号を乗せることで通信しているわけですが、
本来の電力線からすると、これはノイズでしかありません。
逆に言うと、PLCは他の電気製品が電力線側に出しているノイズの影響を受けます
特に、高周波側。

このため、PLCを使用する際は、電力線を通信線として利用できる環境を整えることが重要になります。
適当に接続しても通信できるかもしれませんが、
PLCの接続が不安定だとしたら、ノイズの影響を疑うべきです。

KT-180

これは、KT-180というノイズフィルタですが、
ノイズの発生源となりそうなものは、このノイズフィルタ以下に接続します。
このことで、ノイズフィルタ以下に接続した機器の影響を抑えます。

間違っても、PLCアダプタの上流にノイズフィルタを挟まないように
それでは、PLCの信号をノイズとしてカットすることになりますので。

すべての電気製品が等しくPLCに悪影響を及ぼすわけではなく、
特定の機器が際立って害悪を与える場合がほとんどです。
PLCにとっていいか悪いかは、その電気製品固有の電源回路によって決まります。

当方で明らかな速度低下が認められたものは、スマートフォンの充電器です。
下記ページは、スマホ充電器を用いてPLCに対するノイズフィルタの効果を測定したものです。

PLCのノイズ源とノイズフィルタの効果

ノイズフィルタの効果は極めて大きいので、
もしPLCの接続が切れるようであれば、ノイズフィルタを併用したほうがいいです。

PLCは無線LANと違って、接続不安定になる原因が目に見えている場合が多いので、
理屈がわかれば対策は打てると思います。
環境さえ整っていれば、無線LANよりも安定した通信ができるはずです。

通信機器も、適材適所で。