PLCにとっての障害はいろいろありますが、なかでも避けて通れないものがブレーカーです。
PLCは離れた部屋との通信には無線LANよりも適していますが、
離れた部屋とはブレーカーが別になっている場合がほとんどで、
しかもPLCにとって、ブレーカーは速度低下をもたらす障害物でもあるのです。

ブレーカーもすべて同じではなく、PLCにとっては分電盤の中でどこに位置しているのかが重要になってきます。
どのブレーカーがどこのコンセントにつながっているのかは、
建物ごとに異なるので、それぞれ確認してもらうしかありません。

分電盤 L1/L2相

これは、単相3線の分電盤の模式図です。
近年では、ほとんどの住宅が単相3線になっていると思います。
ブレーカーは上下2段に分かれており、それぞれL1相、L2相と呼ばれます。
L1相とL2相は中性線を共有していますが、電圧線は別です。
同じ100Vでも、位相が逆です。
そうすることで、電圧線間で200Vを取り出せるというメリットがあります。

話をPLCに戻すと、L1-L2間の通信では、導線を1本しか共有しないため、損失が大きくなるのです。
このため、PLCを使うなら、L1ならL1内で、L2ならL2内で通信したほうが望ましいことになります。

通信速度実測値の比較

ブレーカーが実際のPLCの通信速度にどれほどの影響があるのか、未知数だったので、当方で実験してみました。

PLCアダプタは、BL-PA510
PLC、データ転送先のパソコン共に、無線ルーターWR8700NのLAN側スイッチングハブ下に接続。
通信速度測定には「LAN Speed Test」を使用しています。

同一コンセント 同一ブレーカー
同相、別ブレーカー 異相、別ブレーカー

ここで、最も一般的と思われる、同相、別ブレーカーの場合を100として、通信速度比をグラフにまとめてみます。

通信速度[Mb/s] 速度比[%]
同一コンセント 54 136
同一ブレーカー 51 128
同相、別ブレーカー 40 100
異相、別ブレーカー 32 81
※Readでの比較。

PLCは、ブレーカーをまたぐと通信速度が低下します
ブレーカーからしたら、高周波の電気特性とか、どうでもいいですからね。

とはいえ、PLCを同一ブレーカー内だけで使うのは非現実的です。
同一ブレーカーということは、同じ部屋や隣の部屋だったりするわけで、
それなら有線LANとか無線LANとか、他の選択肢のほうがあらゆる面で優れています。

また、PLCの異相間通信においては、さらに速度が低下します
PLCアダプタ間の配線距離が通信速度に影響するため、
単純に同相/異相の違いだけを比較する実験ができないんですが、
複数のコンセントで測定してみて、異相間通信の影響は明らかでした。

複数の実験を経て、PLCを使ううえで考慮すべき優先度順にまとめてみると、

ブレーカー > L1/L2相 > 配線距離

ってところでしょうか。
でも実はそれらよりも、ノイズ発生源となる他の電気製品の影響のほうが、はるかに大きいです。
ブレーカーを経由するのは、PLCの利用目的上仕方がないかもしれませんが、
ノイズ発生源を抑え込むのは、ノイズフィルタを使用すればどうにかなります

つまり、PLCを使っているけど接続が切れることがある、なんてのは、
ノイズ発生源を突き止めて、ノイズフィルタを適切に用いることで対処できるケースがほとんどだと思うわけです。

分電盤のL1/L2とか、配線距離とか、確かに影響はありますが、
それ単独の原因で通信できなくなるほど致命的とは考えにくいです。
配線距離については、仕様上最大200mになってます。
同じ分電盤から出ているコンセントなら、工夫次第でどこでもPLCを使えるんじゃないでしょうか。