フォーマットは、よく使われる割に誤解されやすいものでもあります。
それは、「フォーマット」という単語が指し示す対象が、時代とともに変化してきたからだと思います。

フォーマットは、データを収めるひな形を作るための作業です。
データ的には原点の状態になるので、初期化とも呼ばれます。

ハードディスクのフォーマットには、大きく分けて2種類のものがあります。

  • 論理フォーマット
  • 物理フォーマット

それぞれ、初期化する対象が違います
でも、これらが一緒くたにされていることが多いのです。

論理フォーマット

Windowsが行うフォーマットは、すべて論理フォーマットです。

「エクスプローラ」からであろうと、「ディスクの管理」からであろうと、それは論理フォーマットです。
クイックフォーマットじゃなかろうと、それは論理フォーマットです。

論理フォーマットは、ひとことで言うとファイルシステムの初期化です。
Windowsでは、NTFSやFAT32なんかをよく目にするかと思います。

「この領域については、この規格にのっとって書き込もう」
という取り決めを初期化した、ということです。
取り決めを初期化しただけなので、データについてはそのままです。
たとえば、

建築基準法が変わって、新しく建築物を建てる場合は法律に従わなければならない。
すでに建てられている建築物は、建て替え時まではそのままでよい。

みたいな感じです。
でも今後は、新しい法律にのっとって建築物が作られていくことになります。

従って、「フォーマットしたからデータは消えている」と思ったら大間違いです。
ほとんどのデータは残っています。
論理フォーマットの場合、やろうと思えば、かなりのデータが抽出できます。

フォーマットしてもデータは消えない

物理フォーマット

物理フォーマットは、記憶媒体を記憶媒体として使うためのデータの初期化です。
それは論理フォーマットでも同じなんですが、こっちはもっと低レベルな話。

物理フォーマットが行なわれていない記憶媒体は、記憶媒体ではありません。
少なくとも、ソフトウェア的には。
何の秩序もない生の記憶媒体に、データを書き込むうえでの土台となる部分を作る作業が物理フォーマットです。

昔は、物理フォーマットが今よりも一般的でした。
たとえば、今ではもうほとんど見ることがなくなりましたが、
フロッピーディスクのフォーマットは、物理フォーマットを含んでいました

フロッピーディスクは、記憶媒体が外気にさらされているプラスチック製の磁気フィルムだったため、
信頼性に乏しい記憶媒体でした。
ただでさえ磁気や熱等に弱いうえに、リムーバブルディスクとして持ち運ばれることも多く、
ある日突然フロッピーディスクが読めなくなることもありました。
信頼性の低いフロッピーディスクにとって、物理フォーマットは必要な作業でもあったと思います。

一方、現在主として使われているハードディスクは、
フロッピーディスクとは比べものにならないほど信頼性の高い記憶媒体です。
高密度化が進んだ現在のハードディスクでは、ユーザー側で物理フォーマットを行うこともできません。
生産段階で物理フォーマットが行われており、以後はその必要もないと思います。

ただ、物理フォーマットをすると副次的に一切のデータが消えてしまうので、
データの消去目的で物理フォーマットが行われることがありました
このため、「0」で上書きして単にデータを消去してしまうゼロフィル」が、
広い意味で「物理フォーマット」と呼ばれるようになった
というわけです。