USBメモリは、ハードウェアとして最も不安定な記憶装置かもしれません。

USBメモリの書き込み速度は、USB接続のハードディスクに比べて格段に遅いです。
これは、USBメモリにとって避けられない問題です。
根本的に、フラッシュメモリは情報を記録することが苦手だからです。

もともと大容量のデータ転送用ではないUSBを用いているうえに、
そこへ書き込みが苦手なフラッシュメモリを組み合わせているのが、USBメモリという製品です。
このため、USBメモリに大量のファイルを次々書き込むだけで、問題が発生する場合があります
個人的にも、大量のファイルを格納した圧縮ファイルをUSBメモリ上に展開した時に、
ファイルシステムが壊れたことがあります。

しかも、論理障害だけならまだしも、USBメモリの物理障害が原因で認識できない場合、
外付けハードディスクのように、中身を取り出して動作確認するわけにもいきません

とはいえ、USBメモリが認識されなくなったら、ユーザー側にできることは何もないわけでもありませんので、
確認しておくべきだろうことを順を追って挙げていきます。

ハードウェアの問題

USBメモリ内のデータの話をする前に、確認しておくべきこと。

電力供給不足

USBメモリは、動作するために電力を消費しています。
フラッシュメモリ自体が、電子のやりとりで読み書きするものなので、当然なんですけどね。

同じUSB接続の外付けハードディスクには、それ単体で別に電源があったりしますが、
USBメモリは、すべてバスパワーで動作しています
つまり、接続されているUSB端子から供給される電力だけで動いています。
しかも、USBメモリ書き込み時の最大消費電流は数百mAと、地味に大きいんです。

USB端子から供給可能な電力は、規格によって違います。

電圧 最大消費電流
USB1.1 5V 100mA
USB2.0 5V 500mA
USB3.0 5V 900mA

特に、初期のUSB1.1の製品は、電力供給にほとんど余裕がありません
USBはもともと、外部記憶装置を多数接続することが前提の規格ではなかったからです。

また、複数のUSBポートを使えば使うほど、1つのUSBポートに供給可能な電力は低下します
バスパワーの最大消費電流というのも大元の話で、それを複数のUSBポートで分け合っているのです。
最近はUSBで電源を取る機器が増えてきたので、特に注意が必要です。
USBハブを使っていると、USBハブ自体も電力を消費するので、さらに供給電力は下がっていきます。
※コンセントから電力供給できる、セルフパワー式のUSBハブでは、この問題は発生しません。
なんというか、規格としての下限値はあるんですが、物理的にはそれを無視した接続が可能という罠。

そして、USBの下限である100mAの電流さえ確保できなくなると、
USB接続された機器が正常動作しなくなる恐れがあります

フラッシュメモリの消費電力が最も高くなるのは書き込み時なので、
過度な電力供給不足が発生すると、データを正常に記録できなくなります
つまり、保存したデータが破損します。
これがきっかけとなってUSBメモリを認識できなくなるケースは、実は多いんじゃないかと思います。

こうしたことを防ぐためにも、USB接続されている製品(USBハブ含む)を一旦すべて取り外し、
USBメモリだけを直接パソコンに接続
します。
以下の動作確認は、それから行うべきです。

USB端子の破損

USBポートの使用頻度は高いため、抜き挿し回数も、どのインターフェースよりも高くなるのが普通です。
すると当然、USB端子は劣化、損傷しやすくなります。

さらに、たいていのパソコンでは、USBメモリを抜き挿しするような場所がほぼ決まっていて、
同じUSBポートを繰り返し使っていることが多いはず
です。
従って、1箇所だけやたらUSB端子の損傷が激しいことが珍しくありません。
もちろん、USBポートに用いられる端子には、相応の耐久性が確保されているのですが、
実際に破損したUSB端子を目にすることは多いです。

必ず、USBメモリを使用するUSBポートを変更して動作確認してください。
不具合のあるUSBポートは、以後の使用を控えるべきです。

デバイスとして認識していない

USBは「Universal Serial Bus」の略で、ユニバーサル、つまり汎用性の高さが大きな特徴です。
多くのUSB機器は、接続しただけで、Windowsが持っているドライバを使って自動的に認識されます。
でもまれに、これが正しく行われない場合があります。
ドライバが正しくインストールされないと、USBメモリは認識されません。
そんなときは、ドライバを再インストールする必要があります

ドライバの再インストールは、実質、ドライバの削除と言ってもいいです。
というのも、USBメモリに使われるUSBマスストレージクラスドライバは、
Windows(2000以降)が標準で持っているため、
ドライバを削除してからUSBメモリを接続し直せば、自動的にドライバの再インストールが始まるからです。

手順としてはまず、認識されないUSBメモリを接続している状態で、
「デバイスマネージャ」を起動
します。

確認すべき場所は、

ユニバーサルシリアルバスコントローラー > USB大容量記憶装置デバイス

そして、

USB大容量記憶装置デバイス不具合 - デバイスマネージャ

  1. アイコンに「!」「?」が付いているデバイスを選択
  2. 「Delete」キー ※右クリックメニューから「削除」でも可。
  3. 「OK」

以上で、ドライバの削除は完了です。
ちなみに、

ドライバに問題がある
ドライバが見つからない

という意味です。

削除と聞いて怖がられる人もいるかもしれませんが、
もともと認識されていない、不適合のデバイスドライバですから、削除してしまっても問題ありません。
また、デバイスマネージャでの削除は関連付けの削除で、
元のドライバファイルを削除しているわけではありませんので、ご安心を。

あとは、認識されていなかったUSBメモリを一旦抜いてから挿し直すだけです。

USB大容量記憶装置デバイス - デバイスマネージャ

USBメモリの接続が検出されると、Windowsは最適なドライバをインストールします。
前述のとおり、これはWindowsが元々持っているドライバなので、
基本的に放置していれば、インストールは完了します。
ドライバのインストールが正常に完了すれば、USBメモリはデバイスとして認識されるはずです。

現状把握

USBメモリをデバイスとして認識していたら、「ディスクの管理」で確認できるはずです。

「ディスクの管理」について

「ディスクの管理」の表示内容を確認することで、USBメモリがWindowsにどう認識されているかがわかります。

ディスクの管理

逆に、「ディスクの管理」にUSBメモリらしきものが表示されない場合は、Windows上からは一切の操作ができません。
アプリケーションソフトウェア含め。
最低限、「ディスク」として表示されている必要があります

現時点では、表示内容に問題があっても構いません。
重要なのは、Windowsから見てUSBメモリのどこに問題があるかです。
上の画像のように、ファイルシステムが「RAW」であれば論理障害かもしれませんし、
逆にディスクとしての容量が表示されなければ、物理障害の可能性があります。

論理障害

論理障害とは、ソフトウェア障害、つまりデータの不具合です。
ソフトウェアの問題なので、ソフトウェアによって復旧可能です。

フォーマットする

一番手っ取り早いのは、USBメモリをフォーマットすることです。
完全に新しいデータで上書きします。
ただしもちろん、中のデータもゼロからのスタートで、以前のデータは失われます。
その代わり、これ以上に簡単かつ確実なものはありません

認識しないUSBメモリをフォーマットする際は、
フォーマット専用ツールであるフォーマッタを使ったほうがいいです。
Windowsでもフォーマットはできるんですが、一部の論理障害において正常動作しません。
なぜか、Windowsは対象領域の中を確認してからフォーマットするため、
最初の確認時に想定外のことが起きるとフォーマットに移行してくれないのです。

特に、「I-O DATA ハードディスクフォーマッタ」は、インストールの必要もなく使えるので便利です。

ダウンロードページ I-O DATA ハードディスクフォーマッタ

I-O DATA ハードディスクフォーマッタ

「ハードディスクフォーマッタ」という名前ですが、USBメモリに対しても使えますし、
「I-O DATA」製である必要すらありません。
というか、すごく便利なので仕様変更しないでくださいませ。
「I-O DATA」様。

復旧する

ブートセクタの修復

先の「ディスクの管理」の画像のように、USBメモリ全体を認識しない場合は、
最初に読み込むべきデータに問題がある可能性が高いです。
つまり、ブートセクタです。

ブートセクタを修復するツールとして、「TestDisk」があります。

「TestDisk」の使い方

ファイルシステムの修復

冒頭で書いたとおり、個人的にはUSBメモリでファイルシステムが壊れた状況を目にすることは多いです。
Windowsは、「chkdsk」というファイルシステム修復ツールを持っています。

「chkdsk」と修復オプション

ただし、これはファイルを復元するものではありません。
ファイル操作を正常にするためのものです。

chkdsk FAT32

ファイルシステムを修復する過程でファイルが復元されることもありますが、
必要なファイルが希望通りに回復されることは、まずありません。
目的が違うからです。
むしろ、ファイルシステムを修復する過程で必要なファイルが失われることがありますので、注意してください。

ファイルの復元

USBメモリに保存してあるデータの重要度が高い場合は、ファイルの復元を最優先してください。
正常に認識できない領域からファイルを復元するには、ある程度高機能なソフトウェアが必要です。
代表的なものとして、ファイナルデータがあります。

物理障害

USBメモリの故障箇所は、大きく3つに分けられます。
具体的には、

  • USB端子
  • コントローラチップ
  • フラッシュメモリチップ

です。
このうち、フラッシュメモリチップさえ壊れていなければ、まだデータを復旧できる余地は残されています。
データの復旧が簡単な順にすると、

USB端子 < コントローラチップ < フラッシュメモリチップ

です。

USB端子の故障は、はんだで補修したり、別のUSB端子と交換すれば、比較的簡単に修復できます。
USB2.0までなら。

コントローラチップの故障に関しては、本来はデータ復旧業者さんの分野になりますが、
個人でも同じ型の製品をもう1つ購入し、フラッシュメモリチップを乗せ換えれば不可能ではないように思えます。
でも、このフラッシュメモリチップは通常、手ではんだ付けする部品ではないため、
実体顕微鏡等、それなりの環境が整っている人じゃないと、現実的にはほぼ不可能です。

幸か不幸か、USBメモリは、従来通り基板上に実装してある製品が多いです。
これは、USB端子を取り付けるため、結局基板が必要になるからだと考えられます。
SDカードのようにSiPで作る明確なメリットがあまりないです。※超小型の製品を除く。

基板上にチップを実装してあるのは、データ復旧の面から考えると有利です。
機能ごとにパーツが分かれているので、作業に着手しやすいです。

でも、耐久性の面では不利です。
持ち運び前提であるにも関わらず、堅牢な作りにはなっていません。
はんだが外れたり、水分が侵入しやすかったりします。
この点で、USBメモリはSDカードに劣ります。

ただ、USBメモリはリムーバブルディスクとして非常に適した特性を持っています。
重要なデータを保存する目的で使うのはおすすめできませんが、
あまり信頼性が高くないことを念頭に置いたうえで使う分には、便利です。
何事も、適材適所。